きみのもしもし #534
少し疲れが溜まっていたのか、
お気に入りの器を二つも立て続けに割ってしまった。
どちらも洗っている最中に手から滑り落ちた。
ひとつはプラハに行ったときの自分向けの記念のお土産。
もうひとつはきみがずっと愛用していた器。
困ったなぁのオーラをまとって、キッチンに立っていたら、
「もしもし、ものはね、壊れるの」
きみが横に立っていた。
「ものが壊れないと、新しいものが売れないの」
そして、ニコニコしながら、
「新しいものが売れないと、作ってる人たち、困るでしょ」
割れたかけらを袋に入れ始め、
「だから、割れても気にしなくていいのよ」
怪我はなかったかと聞いてきた。
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