きみのもしもし #536
「もしもし」
きみが意味深な顔をしている。また何かに感化されたのかな。
「タイムスリップで過去に行けるとしたら、いつに戻りたい?」
高校時代かなぁ。
「本当に戻りたい?」
いやぁ、戻れなくてもいいけど。
「けど?」
あの当時はやけに楽しかったなぁってさ。
「今は?」
楽しいよ。また別の気のおけない仲間もいるし。
「いいね」
うん、いいよ。
「よかった」
どうして?
「トイムスリップされてどっか行っちゃうと少し寂しいから」
少し?
「うん、少しね」
大丈夫、行かないよ。ここにいるよ。
きみは満開の桜を見上げて、微笑んでいる。
それを見て、ぼくは思う。
うん、今が一番だな。
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