Archive for 6月 4th, 2018
きみのもしもし #546
きみの姿が見えない。
夢なんだろうな。
そんなことを考えながら、
ぼくは左の部屋のドアを開ける。
そこにももちろんきみの姿は見えない。
どうして、もちろんなんて思ったんだろう。
今度は右の部屋。
きっときみはここにもいない。
そう分かっているのにドアノブを回す。
ーもしもし、ここにいるのに。
きみはずっとそこにいたかのように現れる。
気づかないうちにぼくのそばにいる。
そして笑ってきみはぼくに言う。
ーもう少し寝なさい。
うん。
素直にぼくは夢の中で、もう少しだけ眠りにつく。