きみのもしもし #551
ーもしもし、そうじゃないでしょ。
きみが珍しく強い口調で切り出してくる。
一緒にSNSを見ていた、その最中。
ーだってあなたの方がきっと身軽じゃない。
一概には言えないかも知れないけどさ、と添えながら。
ここ数年いろんなことがあって、いろんなことをやっちゃって、
いろんなものを手放して、確かにぼくは以前に比べると身軽になった。
ーだから、あなたが動けばいいのよ。
わたしに会いたくなったらあなたはわたしに会いに来る。
それと同じじゃない、ときみは続ける。
そうだね、確かにきみの言うとおり。
彼が落ち着いたら、ぼくの方から声をかけよう。
何かのついでではなく、あなたと話をしてみたいと、
あなたとお酒を酌み交わしてみたいと。
ぼくが不器用な分、ぎこちない会話から始まるんだろうけど、
とにかくそうしよう。
ーうん、いいんじゃない、忘れないでね。
きみの口調は優しくなった。
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