Archive for 7月 22nd, 2018
きみのもしもし #553
ー大好きな道はありますか。
ずっと以前とっても以前、それは出会った頃のきみがぼくに尋ねた言葉。
どこに行こう?
そうきみに聞いて、しまったと思った。
行き先も決めずにわたしを誘ったの?
そんな言葉が返ってくると思った。
でも、きみが口にしたのはそうではなく、
ーもしもし、あなたの大好きな道をドライブしてみたい。
きみはぼくにそう言った。
懐かしいな。
クーラーを強めに点けても、窓からの陽射しがそれを打ち消す。
指を折って数えることもできないくらい久しぶりにこの道を通り、
今、きみに会いにいく。
忘れかけていた思い出が蘇る。