風、空、きみ

talk to myself

きみのもしもし #554

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「文字はね、きれいに書けるに越したことはないけどさ」
 ぼくの手帳を覗き込んで、きみがそう言う。
「読んでもらうって言う意識は大切よね」
 いや、これぼくの手帳だし、ぼく個人のね。
「うぅうん、日頃から意識してないといざと言うときに書けないわよ」
 きみはチッチッチッと人指し指を振る。
「でもきれいって言うより歳相応の字が書ける人に憧れるなぁ」
 歳相応って?とぼくが問うと、きみが今度は首を振る。
「大の大人がいつまでも丸っこい文字ってのもねぇ」
 読みやすいと思うけどなぁ。
「お仕事やポジションにもよると思うよ」
 そしてきみはこう言った。
「もしもーし。一緒にペン字でもやる?」
 もしかして、全てはきみ自身のことだったりして。
 でも、ぼくは素直に頷くことにした。

Written by ken1

2018/07/29 @ 21:30

カテゴリー: kiss

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