風、空、きみ

talk to myself

きみのもしもし #556

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「想い出はいくつあっても足りないね」ときみが言う。
 人は忘れていく生き物だとよく耳にする。
 想い出を100個作っても、いったいいくつ憶えているのだろう。
 忘れたくないのに忘れてしまう想い出もある。
「だったらひとつでも多くの想い出を作ろっ」
 きみはそう言って、
 今日と明日のふたりの共同作業をぼくに伝える。
「もしもし」
「何かな」
「わたしはぜーんぶ憶えているのよ。何ひとつ忘れない」
「そうだね。ぼくもそうだよ」
 忘れないために、せめてもの抵抗。
 ぼくらはそっと手を繋ぐ。

Written by ken1

2018/08/12 @ 16:31

カテゴリー: kiss

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