Archive for 11月 2018
きみのもしもし #571
きみがソファーでまぁるくなっている。
窓からの陽射しで、ソファーは一面陽だまり状態。
きみはすやすやと小さい寝息を立てている。
せっかくだからもっと気持ちよく寝れるようにと、
薄いダウンの掛物できみを包む。
気づいたのかな。
きみはちょっとだけ薄眼を開けて、
次の瞬間にはまた陽だまりと同化している。
計画通り連休を楽しんで、
予想通りのんびりと過ごす今日。
ぼくはぼくで、きみのおやすみを邪魔しないように
イアホン経由で音楽を聴く。
そして陽だまりのおこぼれをもらおうと、
きみと一緒のリビングで宿題に取りかかる。
きみが時たま口にする寝言も、
なんとなく「もしもし」に聞こえるから不思議だ。
連休最後の日、きみはソファーでまぁるくなっている。
きみのもしもし #570
街角にクリスマスソングが響きだした。
まだ一月以上先なのになぁと思う。
でも、このくらいからクリスマスに向けた準備が必要ですよと、
きっと教えてくれているのだろう。
いっつも直前であたふたするのは否めないし。
ーその一週間前にパーティーあるんだ。一緒に行こうっ。
今年もきみから先に誘われた。
毎年、今年こそはぼくから誘おうと思っていても、
やはりきみからの誘いの方が早い。
なんでだろう。
今年のクリスマスソングは今日初めて耳にしたのに。
ーもしもしっ、行くの?行かないの?
ありがとう。行くよ。一緒に楽しもう。
さてとサンタのおじさんは何を準備しようかな。
きみへの感謝の気持ち、どう伝えようか。
耳にしたクリスマスソングを口づさみながら、ぼくは考える。
きみのもしもし #569
金曜夜、仕事帰りに本を選ぶ。
その週またはそれ以前にお気に入りに入れていた。
その中から一冊を注文する。
土曜午後早い時間に本は届く。
今更ながらに便利な世の中。
土曜の午後、スマホに配達完了の知らせが届く。
それをスマートウォッチで受けて、
郵便受けまで本を取りに行く。
するとそこにきみがいた。
「もしもし、読書の秋、ですか?」
ぼくは素直に頷く。
「公園でサンドウィッチなんて、いかが?」
ランチを済ませていても、ぼくは笑顔で頷く。
「わたしも持ってきたのよ」
きみはサンドウィッチの入った袋をぼくに手渡しながら、
kindleを見せる。
小春日和の今日。
ぼくらはのんびりと読書の秋に浸る。
きみのもしもし #568
きみに早く会いたいね。
そう思いながら、朝から今日の家事を済ませる。
朝からやっているのだが、遅々として家事は進まない。
新聞の集金、予定外の宅配便。外的要因もあるけど、
やはりぼくは家事がどうも苦手なようだ。
お掃除ロボットもクルクル回りながら手伝ってくれている。
でも、全体としてはなかなか進まない。
きみに会いたいと思えば思うほど、進まなくなるから不思議だ。
そこで、家事の順番を入れ替えてみてはどうだろうと手を止めた。
すると、あれ?
今日のぼくはこんなきみに会いたいのに、何をやっているんだろう。
そんな気がした。
ところで、今日のきみはぼくが思うほど、ぼくに会いたいかな。
そんなことまで考えてしまう。
ーもしもしぃ、早く会おうよぉ。
そんなきみを想像して、
ぼくはまた家事に取りかかる。