Archive for 12月 2018
きみのもしもし #576
今年も終わる。
早かったなぁ。
きみには数え切れないほどの、
ありがとうをもらったね。
言わなきゃならないのは、ぼくのほうなのに。
きみの言葉でどれだけぼくの世界は潤って、
きみの瞳でどれだけぼくは安心して、
きみの仕草でどれだけぼくは癒されたことだろう。
ーもしもし、何をごにょごにょ言ってるのかな。
そうだね、ちゃんと伝えなきゃ。
きみのおかげでこの一年、きちんと過ごすことができました。
ありがとう。
きみのもしもしに支えられたんだよ。
ありがとう。
そう伝えなきゃ。
今年のうちにきみにちゃんと伝えなきゃ。
きみのもしもし #575
ーもしもし、笑顔で寝てますか?
きみがクリスマスカードに添えてきたメッセージ。
「笑顔で眠ると優しい夢を見れる気がしない?」
カードを見ていたぼくにきみは言葉を続ける。
笑顔でそう続ける。
「優しい夢を見れると明日はいい日になる気がしない?」
もっと続ける。
きみの言葉ひとつひとつが、
ぼくにとってのクリスマスプレゼントなんだろうな。
「今日も一日ありがとうって言って寝るともっといいんだよ」
そう言ってきみはぼくに一冊の本を手渡した。
すべてはこの本に書かれているらしい。
いい話だね。
ーうん。
きみはとってもいい笑顔で頷いた。
きみのもしもし #574
表参道発車っ。
ーこっちは自由が丘出ました。
それぞれの忘年会。
きみもぼくも、楽しい時間を過ごした模様。
きみからのメッセージにはそれを裏付けるように、
たくさんの明るいスタンプが添えられる。
ひとつ返すと、3つも4つも返ってくる。
ー二子玉川あたりで会えるかな。
きみが待てればね。
おっきなOKマークのスタンプが3つ付いてきた。
大丈夫かなぁ、このテンション。
ーもしもし、わたしはまだまだ冷静よ。
こんなときのきみが一番怪しいんだけどね。
そう思いながら、
ぼくもおっきなOKマークのスタンプを3つ、きみに送り返した。
きみのもしもし #573
ー今年はここ。
昨夜遅くに連絡があり、ぼくは今朝早起きしてこの駅できみと待ち合わせ。
ぼくらは駅からバスに揺られ、そこから40分ほどのハイキング。
そこが今年のここ。
ーやっぱり潮焼けしてるね。穴場だと思ってたんだけどなぁ。
海に近いところの紅葉は、山場でも潮焼けをしているんだろうね。
ーでもね。
きみはぼくの視線を空に向けた。
潮焼けから逃れた真っ赤な葉っぱたちはお日様の光を存分に浴びて、
少ないなりに、でも見上げた空をそれはそれは綺麗に飾っていた。
ーもしもし。もしもし。
そして、きみは上を向いたまま呟く。
ーきれいですよ。ほんときれいですよ。
ありがとうときみが空に浮かぶ紅葉に呟く。
きみのもしもし #572
ーもしもし、今日は表情が違うね、きみが微笑む。
そうかな。
ーそうだよ、きみがうれしそうに微笑む。
なんだろう。
ー分かってるくせに、きみがニコニコしている。
たまに会うとさ、元気をもらえるのかな。
ーきっとその友だちとお互いにね、ますますきみが微笑む。
あいつとももう長い付き合いになる。
楽しいこともたくさんあったし、たくさんの説教もされた。
みんないい思い出だ。
そしてたまにしか会えないけれど、
これからも支えになってくれるんだろうな。
ーそれも含めてお互いにね、きみがゆっくり頷く。
そしてきみは続ける。
ーわたしと会ったあとも、そんないい表情が続いているといいな。
もちろん。
ぼくらは一緒に、街頭に流れるクリスマスキャロルを口ずさんだ。