Archive for 1月 2019
きみのもしもし #580
ーあなたはずっと以前から貧乏症なのよ。
きみが首を横に振りながら、食事を運んでくれる。
ー諦めてさ、うぅん、割り切ってさ。
きみは窓の外に視線を移す。
ーボーっと青空見てればいいの。
生まれて初めてインフルエンザに罹った。
昨日の薬が効いているのだろう、
午前中の高熱も治りつつあり、
もう少しで平熱の域に戻る。
咳も治まってきたが、寝すぎて腰が痛い。
うん、溜め込んでいた読書をしよう、
そうだ、久しぶりにSNSも総なめで閲覧するのもいいだろう、
でも、パリ行きの予約だけはもう少し頭が回るようになってからにしよう。
そんなこんなでkindle片手に、スマホ片手に、Macも立ち上げて。。。
ーもしもしっ。寝なさい。
また叱られた。
きみのもしもし #579
ーたまにはすべてをオフにしてさ、
きみが言葉を続ける。
とってもにこにこしながら、
ぼくの躊躇している気持ちを溶かすように、
きみの言葉がぼくを包み込む。
ー行ってくればいいじゃん。
長いお休みが取れなければ行けないってことはないんだよ、
と続ける。
ーあなたが行きたいところに行く。日数なんて関係ないよ。
そこで空を見上げて、光を浴びて、空気を吸って。
その土地のものを食べて、飲んで。
ーもしもし。
あなたが行きたいその場所にあなたが立っている、
それが大事なんだと、きみが身を乗り出して、
ーそれが旅だよ、行ってらっしゃい。
と、ぼくに言う。
きみのもしもし #578
目を覚ますと、連山の裾野に朝靄が広がっていた。
季節外れの春の陽気のせいなんだろう。
こんな現象もこの景色そのものも、
今のぼくにとっては非日常のひとつなんだろうな。
ーちょっとさみしいね。
そうだね。
高校を卒業して何回何日帰省したことだろう。
そして、あと何回何日帰省できるんだろう。
日常だった風景と生活が、
いつの間にか非日常になっている気がした。
ーもしもし。故郷があるのはうらやましいよ。
そうかも知れない。
でも故郷はみんなにあると思う。
非日常も日常も関係ないや。
しばらく連山を見ていて、最後はそう思った。
きみのもしもし #577
おみくじについてきみと話す。
おみくじはお参りをした後に引く。
そのときのお願い事が叶うまでの時間を教えてくれる。
大吉だったら、もうすぐ叶うよ。
そうでなかったら、もう少し精進しようね。
それを神様がおみくじを通して教えてくれる。
今年はお願い事を変えてみようと思う。
さてとおみくじには何と書かれてくるのだろうか。
「もしもし。それ違うと思う」
きみが不思議そうな顔をした。
「何と書かれていてもいいじゃん」
「願い事を叶えるのも、結果をどう捉えるかも」
「ぜーんぶ、あなたなんだから」
そしてきみはにっこりと笑う。
そうだね、その通りだね。
でも今年これからの願い事はどのくらいで叶うのだろう。
やっぱりちょっと気になるなぁ。