きみのもしもし #578
目を覚ますと、連山の裾野に朝靄が広がっていた。
季節外れの春の陽気のせいなんだろう。
こんな現象もこの景色そのものも、
今のぼくにとっては非日常のひとつなんだろうな。
ーちょっとさみしいね。
そうだね。
高校を卒業して何回何日帰省したことだろう。
そして、あと何回何日帰省できるんだろう。
日常だった風景と生活が、
いつの間にか非日常になっている気がした。
ーもしもし。故郷があるのはうらやましいよ。
そうかも知れない。
でも故郷はみんなにあると思う。
非日常も日常も関係ないや。
しばらく連山を見ていて、最後はそう思った。
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