きみのもしもし #589
三寒四温とはよく言ったものだなぁと毎年思う。
春はもうそこまで来ているのに、
毎年律儀に寒くなったり暖かくなったり。
ーでもね。
きみは若い桜の木を見ながら話をする。
ーこの木たちもきっと花を開くタイミングを覚えるんだよ。
タイミング?
ーこの時期は暖かくなったり、寒くなったりするものだと覚えるの。
そして、みんなが愛でるタイミングもね、と。
ーだから、年輪を重ねた大木の桜は今日みたいな寒い日でも、
もう咲く時期なんだって知っていて、きちんと花を開いているでしょ。
先方に見える大きな桜の木をきみは指差した。
そうかなぁ、陽当たりなんじゃないかなぁ。
ーもしもし、私の言うこと、信じなさいっ。
きみは別の神社の桜の木で、持論を証明するらしい。
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