きみのもしもし #590
ー何かいいこと、あったのかな。
きみは目ざとい。
ちょっとだけね、とぼくは答える。
するときみは首を横に振る。
ーもしもし、隠せないよ、わたしには。
きみはふふふと笑う。
なんだかうれしそうにふふふと笑う。
ー口にすると、今よりもっと現実味が増すよ。
そうだね。
そして、ぼくはきみに伝える。
ーよかったじゃない。行けそうなんだね、夏のパリ。
きみはまたふふふと笑い、
ー会ってみたい人に会えるといいね。
ぼくもつられて、ふふふと笑う。
そうだね、そうなるといいね。
今よりもっともっと現実味が増しますように。
コメントを残す