きみのもしもし #593
寒い春、また冬物を引っ張りだしていると、
きみが後ろから声をかけてくる。
「もしもし、それじゃあ野暮ったいよ」
寒くても春は春。
ではどうしたものか。
クローゼットの前で腕を組む。
すると割り込んできたきみが手を伸ばす。
「一枚これを持って行けば?」
風邪ひきそうなら腕を通せばいいし。
連休の初日に体調崩したら残りの連休つまんないしね。
きみはカーデガンをぼくに手渡す。
「念のため、アンターウェアはヒートテックかな」
なるほど、それだと見た目は春だね。
ぼくは素直にきみのアドバイスを聞くことにした。
コメントを残す