きみのもしもし #608
昔の人はよく言ったものだ。
ー親孝行、したいときには親はなし。
親父の時から分かっているはずなのにね。
それなのについ、まだ大丈夫って思ってしまう。
時に終わりはあるはずなのに。
何の根拠もなく、まだ大丈夫って思ってしまう。
それは田舎のお袋に対してだけではなく、
きみに対しても、まだ大丈夫って思ってしまう。
「もしもし、どうしたの?」
珈琲に口もつけず、きみをただじっと見ていたら、
そうだよね、不思議に思うよね。
どうもしない。ただ。
「ただ?」
もっと話そうか。呆れるくらいに話そうか。
そしてまた、きみは不思議な顔をする。
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