Archive for 3月 2020
きみのもしもし #641
もしもし?大事なことを後回しにしていない?
思っているより時間はないかもよ。
何かやっても、何もしなくても一日は24時間。
でもね、何かをやろうとするととっても短いの。
だから、大事なことは後回しにしないでね。
言いたいことはちゃんと言ってね。
大丈夫だよ。
ぼくにとっての最優先はきみのこと。
美味しい珈琲をいれてあげるよ。
じゃあ、わたしはマフィンを焼いてあげる。
季節外れの雪を見ながら、
ぼくらの一日は始まった。
きみのもしもし #640
ーできたらいいな。
ーできたらいいな。
きみはよく口にする。
そして、いくつかのできたらいいなを叶えている。
少しだけのいくつかかも知れないけれど、
確かにいくつかのできたらいいなを叶えている。
きみはすごいね。
きみは笑って、
ーひとつでも叶うとうれしいじゃん。
ーもしもし?そうは思わない?
そしてまた、
ーできたらいいな。
を口にする。
きみのもしもし #639
ー楽しいことより、人がよろこんでくれることが好き。
今、テレビで流れた台詞をきみが繰り返す。
そんな人になれたらいいね、ときみが繰り返す。
ーなれるかな。
なれると思うよ。
何の根拠もないけれど、
きみを見ているとそう思う。
きっとなれるよ。
ーもしもし、あなたはそうなりたい?
ぼくは首を横に振り、
そんなきみを見ているだけで十分かなと、
正直に口にする。
そんなぼくに、きみは分かってるわと目を細くする。
きみのもしもし #638
きみはかわいいね。きれいだね。
正直ぼくはそう思う。
実感するのはたまにだけれど。
ーもしもし、どうしたの。
ぼくがそう思う時は、無口になっているんだろうな。
気づかないうちに、きみのことをじっと見ているんだろうな。
きみはぼくが何を思っているかが分からず、
少し不安になるようだ。
ーもしもし。
大丈夫、ぼくにとってそれは確かなことだから。
ぼくが珈琲に口をつけ、にっこりとすると、
きみもにっこりとして珈琲に口をつける。
きみのもしもし #637
ー魔法をかけて。
かけてあげたいけど呪文を知らない。
ー呪文なんて誰も知らないわ。
魔法使いは知ってるさ。
ーもしもし、魔法使いもね、努力してるんだよ。
そうなの?
ーそうだよ。
ー努力して努力して努力して、魔法使いはやっと魔法が使えるの。
ーその努力のことを魔法ってみんな勘違いしてしてるのよ。
もしかして、ぼくにも魔法は使えるってこと?
ーうん、呪文なんて知らなくても魔法は使えるよ。
ーだから、わたしに魔法をかけて。
そこで目が覚めた。
夢の中でもきみは不思議なことを言う。
横でむにゃむにゃ言ってるきみの寝顔を見ていると、
きっと努力というものが夢を叶える魔法なんだろうなと、
きみのおでこにそっとキスをする。