きみのもしもし #637
ー魔法をかけて。
かけてあげたいけど呪文を知らない。
ー呪文なんて誰も知らないわ。
魔法使いは知ってるさ。
ーもしもし、魔法使いもね、努力してるんだよ。
そうなの?
ーそうだよ。
ー努力して努力して努力して、魔法使いはやっと魔法が使えるの。
ーその努力のことを魔法ってみんな勘違いしてしてるのよ。
もしかして、ぼくにも魔法は使えるってこと?
ーうん、呪文なんて知らなくても魔法は使えるよ。
ーだから、わたしに魔法をかけて。
そこで目が覚めた。
夢の中でもきみは不思議なことを言う。
横でむにゃむにゃ言ってるきみの寝顔を見ていると、
きっと努力というものが夢を叶える魔法なんだろうなと、
きみのおでこにそっとキスをする。
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