Archive for 4月 2020
きみのもしもし #645
今日はね、数年ぶりにサングラスを掛けて、
Kindle片手に、ネックスピーカーでヘビーメタルを
聴きながら、ベランダを60分間往復したんだ。
もちろん、テーブルには珈琲置いてさ。
曲はノリノリで、風はそこそこあったけど、
陽射しはぽかぽかと暖かかったよ。
きみは半ば呆れているのか、感心しているのか、
どっちとも取れるような相槌を打つ。
ーもしもし、とにかく今日も元気なのね。
簡単に一言にまとめられてしまった。
まぁ、そうだけどさ。
ー明日は雨みたいだけど、何するの?
雨かぁ。
サングラスも要らなくて、音楽の趣も変わり、
まぁ珈琲とKindleで静かに過ごすかな。
ーふふ、それもいいね。
今日は誕生日。いつもの年と違う不思議な一日だった。
きみのもしもし #644
ー今日は何するの?
ちょっと勉強したいなと思ってる。
今日は朝から快晴だから、
ベランダで調べ事かな。
きみは少し間を空けて、
ゆっくりぼくに話しかける。
ー向上心をもつことも大切だけど、
だけど?
ー休息も同じように大切なのよ。
もしもし?分かってる?
そう言ってきみは、ぼくに温かい珈琲をさしだす。
きみのもしもし #643
ー鳥のさえずり、蜂の羽音、聞こえてる?
またきみが不思議なことを聞いてくる。
ぼくの周りにも、きみの周りにも、世界中はいろんな音で溢れてる。
ーいい音が聞きたいね。いい音だけが聞こえてくるといいのにね。
そうだね、ほっとする音がいいな。
ーもしもし。わたしピアノ弾くから。
じゃあ、ぼくはきみの音にギターを重ねよう。
きみがふふふと笑う。
ぼくもふふふと笑う。
きみのもしもし #642
ーもしもし、今日何してた?
写真の整理かな。
ー他には?
今日はそれで手一杯だったよ。
きみが写っている写真を改めて整理してたんだ。
ー整理終わった?
まだ少しかかるかな。
ーじゃあもう少しは家にいるのね。
そうだね。
明日も外に出るのは食べ物の買い出しくらいかな。
ー早くどっか行きたいね。
「早くそんな日が来ますように」との思いを胸に、
ぼくらは以前一緒に行った旅行の思い出話に
花を咲かせた。