Archive for 7月 2020
きみのもしもし #658
そうだね、いつか。
「だめだよ」
きみが首を横にふる。
「いつかって言ったそのときに、やんなきゃ」
そうかも知れない。きっとそうなんだろう。
いつかって言って、その先にやった試しなんて記憶にない。
「もしもし。いつかって思ったことこそ、そのときにやるんだよ」
こんな会話をしたことも、いつかきっといい思い出として思い出すのだろう。
あれ、この「いつか」はいいんだろうな。
今日と言う日がいい思い出に、楽しい記憶として残りますように。
きみのもしもし #657
きみがいたら何と言うかな。
最近よく考える。
優柔不断になっている気はしないけど、
今まで以上に、きみの思いも一緒にしようと、
きみがいたら何と言うかな。
「もしもし、そんなことも分からないのぉ」
きみにそう言われそうだけど、
やっぱり、きみがいたら何と言うかな。
きみのもしもし #656
親しければ親しいほど、
そして気心が知れているほど、
ふだんは連絡なんてまるでなく、
呆れるほど久しぶりにメッセージが届いたりすると、
それはそれでうれしい反面、
根拠もなく不安な思いが脳裏をよぎる。
ーお前は元気か、オレも元気にやってるぞ。
お前も元気であるように、
返信はあえて「オレも」にしてみる。
「もしもし、大丈夫だから。きっと大丈夫だから」
心配顔のきみがぼくを勇気づける。
そうだね、あいつはきっと大丈夫だよね。
ぼくらの思いがあいつに届きますように、
雨の晴れ間に空を見上げた。
きみのもしもし #655
「笑って」
きみがそう言う。
ぼくはまた仏頂面をしていたのかな。
「そんなことないよ」
きみがまた言う。
「もっと笑って」
きっとぼくはぎこちなく笑っているんだろうなぁ。
「もしもし。もっともっと、もっと笑って」
きみが続ける。
「今日も笑いにあふれた日になりますように」
そうだね。
そしてきみも笑っている。