風、空、きみ

talk to myself

Archive for 11月 2020

きみのもしもし #676

leave a comment »

ーたいそうな事を言いたい訳ではないけど。
 と、きみが珈琲を前にして遠くを見ている。
ー昔からよく言われてるし、
ー誰もがみんな耳にしたことあるし、
ーそうなんだよね、とも思うし、
ーじゃあどうすればいいのかな、とも思うの。
 一言一言を噛み締めるように口にするきみ。
ー人生は一度きりしかないんだよね。
 そうだね。だから、悩むことはないよ。
 今日を、今を、大切にすごせばいいと思う。
 それが分からない、ときみが言う。
 笑顔でいれれば、いいんじゃないかな。
 頑張ることに疲れたのなら、頑張らなくていいよ。
 笑っていてよ、小さくてもいいから笑っていよう。
ーもしもし。こうかな。
 うん、やっぱりきみの笑顔は格別だ。

Written by ken1

2020/11/29 at 17:44

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #675

leave a comment »

「もしもし、またそのシャツ?」
 袖を通したぼくにきみが不思議な顔をしている。
 白いシャツは何枚か持っている。
 だから、この前と同じシャツじゃないよ。
「同じに見える」
 きみは不思議そうにシャツに顔を近づける。
「好きなんだね、このシャツ」
 ぼくは頷く。
 このシャツはね、
 ぼくの体との間に、風が入るんだ。
 きみは少しだけキョトンとし、
「あ、それ、なんとなく分かる気がする」
 そして、ぼくのシャツと腕を組む。

Written by ken1

2020/11/22 at 22:10

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #674

leave a comment »

ー鳥さんもネコさんも、みんな今まで通りに生活してるのにね。
 ベランダからネコが見えた。
 近所のおばちゃんが何かあげていた。
 右手に見える電線には、
 向こうの森から飛んできた鳥が羽を休めていた。
ーもしもし、わたしたちだけかなぁ。
 そうだね、人間だけだろうね。
 ぼくらがきっと一番弱いんだと思うよ、心も身体も。
 だから、ちょっとしたことにも敏感になるのかな。
ーどうしよう。
 ほら、それが鳥さんたちと違うところ。
 でも、しようが無いよ。それがぼくらなんだから。
 珈琲をいれたげるね。
ーいつものように?
 そう、いつものように。

Written by ken1

2020/11/15 at 19:33

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #673

leave a comment »

ー飴、あげる。
 きみの右手から、ぼくの右手に、
 セロファンに包まれた懐かしい丸っこい飴が、1個手渡された。
 昔おばあちゃんからよくもらったのに似てるね。
 きみは、そんな昔のことは知りません、と笑っている。
ーこの飴、ほんとゆっくりと溶けるんだよ。
 ぼくは口に頬張り、その感覚を味わった。
ーゆっくりとした時間って大切だよね。
 きみはぼくにまた飴を3個手渡した。
ーもしもし。週末までの分だよ。
 ありがとう。
 そして、ぼくの口の中でゆっくりと溶ける感覚はとてもとても懐かしかった。
 

Written by ken1

2020/11/08 at 23:31

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #672

leave a comment »

今日もスマホを覗いてる。
あなたの右手はいっつもスマホをいじってる。
その右手、以前はわたしのものだったのに。
いつの間にかスマホに取られてしまった。
太刀打ちできないかなぁ。
どうしたらいいかなぁ。
わかったよ、と言うくせに、
しばらくするとまた右手はスマホをいじってる。
もしもし、今日はわたしと話そうよぉ。
明日からまた忙しくなるから、
今日はスマホを置いて、
わたしとゆっくり話そうよぉ。

Written by ken1

2020/11/01 at 18:27

カテゴリー: kiss

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。