きみのもしもし #673
ー飴、あげる。 きみの右手から、ぼくの右手に、 セロファンに包まれた懐かしい丸っこい飴が、1個手渡された。 昔おばあちゃんからよくもらったのに似てるね。 きみは、そんな昔のことは知りません、と笑っている。 ーこの飴、ほんとゆっくりと溶けるんだよ。 ぼくは口に頬張り、その感覚を味わった。 ーゆっくりとした時間って大切だよね。 きみはぼくにまた飴を3個手渡した。 ーもしもし。週末までの分だよ。 ありがとう。 そして、ぼくの口の中でゆっくりと溶ける感覚はとてもとても懐かしかった。
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