Archive for 12月 2020
きみのもしもし #680
きみの隣にいれることを考える。 テーブルの隣できみは陽射しに包まれている。 今日の陽射しは暖かいね。 きみは何も答えず、 安心した顔で寝息を立てている。 おでこを少し触ってみよう。 きみはむにゃむにゃ。寝言かな。 ーもしもし、ほのぼのとした時間、好きだよ。 そんなことを言ったのかな。 きみの隣にいれることを考える。
きみのもしもし #679
お菓子を食べよっ。 お菓子っていいよね。 いろんなお菓子があるけれど、 どれもいいよね。 お菓子を食べよっ。 もしもし、珈琲はまかせるわ。 どれにする? わたしはこっち。 あなたはそっちね。 お菓子って、毎日を幸せにしてくれるよね。 ねぇ、そう思わない?
きみのもしもし #678
古いお皿をきみが見ている。 お店の主人はそのお皿を江戸時代のものだときみに説明したらしい。 そのお皿が今きみの手元にある。 ずっと使われ続けてきたのだろう、 そう思わせる風情がそのお皿から感じられる。 使われ続けて、でも割れずにきみの手に渡った。 どれだけ多くの家族の団欒を、そのお皿は見てきたのだろう。 それらの全てを記憶にとどめ、その幸せな時を今に伝える。 形あるものは壊れる。でも、壊れないものもある。 「もしもし。ね、いいお皿でしょ」 そうだね。ぼくらの時間も見ててもらおうか。 ぼくの言葉にきみはキョトンとしていた。
きみのもしもし #677
「幸せは深さだよ」と、今週どこかで耳にした。 でもぼくは欲が深いから、 せっかくだったら深くて長く続くのが良いなと思った。 みんなそうじゃないかな。と、きみに聞いてみた。 するときみは笑って、 ー二兎追うものは一兎も得ずよ。と、さらりと返してきた。 困ったな。と、ぼくが腕を組むと、 ーもしもし。困ることはないよ。 きみは笑っている。 ー幸せの深さも長さも誰とも比べようがないもの。 ー今日一日が少しでも幸せに思えたら、ほんの少しでもそう思えたら、 ーそれでいいんじゃないかしら。 ー明日も明日になれば今日だから、 ーまた今日一日を大切にすごせばいいと思うよ。 そうだね。素直にぼくは頷いた。