きみのもしもし #678
古いお皿をきみが見ている。 お店の主人はそのお皿を江戸時代のものだときみに説明したらしい。 そのお皿が今きみの手元にある。 ずっと使われ続けてきたのだろう、 そう思わせる風情がそのお皿から感じられる。 使われ続けて、でも割れずにきみの手に渡った。 どれだけ多くの家族の団欒を、そのお皿は見てきたのだろう。 それらの全てを記憶にとどめ、その幸せな時を今に伝える。 形あるものは壊れる。でも、壊れないものもある。 「もしもし。ね、いいお皿でしょ」 そうだね。ぼくらの時間も見ててもらおうか。 ぼくの言葉にきみはキョトンとしていた。
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