きみのもしもし #709
「いろんなことで数を数えるのね」 と、きみが不思議そうな顔をする。 歯を磨いた後の濯ぎの回数、猫の毛のブラッシングの回数。 そのほかにもいろんなことに数を数えていると教えてくれた。 いったいいつからなんだろう。 でもすぐに思いついた。きっとあの頃からなんだろう。 幼い頃、湯舟で100まで数えるように、母親から言われた。 そうでもさせないと、きっとカラスの行水だったのだろう。 そして、早口で毎晩100まで数えていた。 「もしもし。いい思い出の名残りだったんだね」 そうかも知れないね。 ぼくは少しだけ照れてしまう。
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