風、空、きみ

talk to myself

Archive for 11月 2021

きみのもしもし #728

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ー長居しすぎなのよ。
 きみが呆れている。
ー懐かしいのは分かるけど。
 きみがほとほと呆れている。
 ここ1年半、ずっと行きたくて、でも行かなかった処。
ー楽しかったんでしょ。
 ぼくは頷く。
 馴染みのBarに4時間。
 Barはさくっと過ごす処だよね。
 きみが「しょうがないわねぇ」と笑ってる。
 「もしもし」とぼくを突きながら笑ってる。

Written by ken1

2021/11/28 at 20:12

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #727

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「種を蒔いてね」
 うん。
「手をかけて育てるとね」
 うん。
「やがて実りの日はやってくるのよ」
 そうだね。
「もしもし、蒔くだけじゃだめなのよ」
 うん。
「手をかけないとだめなのよ」
 うんうんと頷くぼくに、
 ほんと分かってるかなぁときみは腕を組む。

Written by ken1

2021/11/21 at 20:15

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #726

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 お皿洗おうか。
 洗濯しとこうか。
 きみはどれも首を横にふる。
 にっこり笑って横にふる。
ーそれはわたしのお仕事だから。
 じゃあ、と少し考える。
ーあなたはあなたのお仕事があるでしょう。
 うぅん、ときみを見つめて考える。
ーもしもし。
 少し間をあけてきみが続ける。
ーわたしのお仕事の邪魔をしないことも、
 あなたのお仕事のひとつだね。
 きみはふふふと笑っている。

Written by ken1

2021/11/14 at 17:08

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #725

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 久しぶりにアクセルを踏み込んだ。
 それよれも何よりも久しぶりに首都高を走った。
 久しぶりの首都高はいろんな環状線とつながり、
 都内を出るまではずっとトンネルの中だった。
 見えていたはずの家並みが頭上を飛んでいく。
 地上に出てそのことをきみに言うと、
 きみはあきれて笑っている。
「もしもし、いったい何年前の話をしているの?」
 そして、きみは続ける。
「もっとアクセル踏み込みなよ。友だち待ってるよ」
 そうだね。
 ぼくらはこれから大切な友だちに会いにいくんだ。
 フロントガラスからの陽射しがそんなぼくらを優しく包む。
 

Written by ken1

2021/11/07 at 19:23

カテゴリー: kiss

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