Archive for 12月 2021
きみのもしもし #732
まだ年賀状を書いていない。 書いていないという以前に、 デザインすら決めていないし、宛先の確認もしていない。 そう言えば、転居のお知らせ来てたな。 来年からSNSだけにするからって書き込みも記憶にある。 きみが「もしもしっ」って呆れてる。 なんでだろう。毎年クリスマスには投函していたのになぁ。 いつでも出来るってたかを括っていたか。 とにかく、手をつけよう。 そんなこんなで夜は更けていく。
きみのもしもし #731
何気ない一日を過ごす。 過ごせそうで、過ごせない。 なんなんだろうなぁ。 部屋から出て、空を仰ぐ。 薄い水色が広がっている。 そういえば、きみから「大きくゆっくり深呼吸」と言われたな。 背筋を伸ばしてやってみる。 ひんやりとした空気が肺に入る。 気持ちいいね。 ーもしもし、ね、言った通りでしょう。 きみの声が聞こえてきそうだ。
きみのもしもし #730
クリスチャンでもないきみが、 クリスチャンでもないぼくに、ぽつりとつぶやく。 「神様って何もしてくれないよね」 何かを求めているわけでもないけどね、と。 ただね、きみが続ける。 「いつだってそばにいてくれるってよ。ずっとそばにいてくれるってよ」 きみが優しく微笑んでいる。 「もしもし、それってとってもうれしいことだよね」
きみのもしもし #729
「見ないことには、ね」 あなたが目にしたものは、間違いなく真実なのだと、きみが言う。 「だって、その目で見たものは疑いようがないじゃない」 分からなくなったら、自分の目で見てみるしかないじゃないと。 見てもいないのに、ねぇ、ときみが笑う。 「もしもし」 きみが続ける。 「だから、一緒にたくさんたくさん、いろんなものを見ていこう」 楽しそうにきみが笑っているのも、 ぼくにとっての間違いのない真実だ。