Archive for 4月 2022
きみのもしもし #749
目覚めたら、まだ雨が降っていた。 こんな日はどうしよう。 ー雨を聴こうよ。 きみが不思議なこと口にする。 ーここでもいいし、出かけてもいいよ。 雨に耳を傾ける。 五感を使って耳を傾ける。 きっと今まで感じなかったことが感じるように 何かが聴こえてくるのかも知れない。 ーもしもし、雨の日は雨を、今を楽しもうっ。 そうだね、今日も、そしてこれからも、 一緒に今を楽しもうね。
きみのもしもし #748
今日はきみの写真を見ていた。 晴れときどき曇り、夕方から小雨。 ラジオからのそんな情報を信じて、 洗濯機が働いてくれている間、 珈琲片手に何枚ものきみの写真を見ていた。 この時期はいつもどこかに行ってたんだなぁ。 どの写真でもきみは笑っている。 ーもしもし、今度のゴールデンウィーク、どこか連れてってね。 写真からきみの声が聞こえた気がした。
きみのもしもし #747
きみがほほほと笑う。 ほほほと上品に笑う。 いつもはふふふなのに、 今日は朝からほほほと笑う。 なんだか可笑しくって、 つられてぼくはふふふと笑う。 でも、どうしたの? 「もしもし。たまにはいいでしょ」 そしてまたほほほと笑う。 不思議なものだね、 ぼくはまたふふふと笑う。
きみのもしもし #746
ーもしもし、今、目の前にあることをしなさいっ。 きみがピシャリとぼくに言う。 あれもやんなきゃ、これもやんなきゃと、 落ち着かないぼくに、 きみがピシャリと言う。 ー今を一つずつこなして行けばいいの。 そうなんだろうけど。 そんな顔をするぼくに、 ーそしたらそのうち全部終わるよ。 と、きみが笑っている。 ーとにかく、今に気持ちを集中させなよ。 ぼくはもう、頷くしかない。