風、空、きみ

talk to myself

Archive for 7月 2022

きみのもしもし #763

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ー偶然がすべてだと思わない?
 よく分からないけど、思わないよ。
ーあなたと出会ったのも偶然。
 いやいや、必然だろう。
ー偶然よ。
 そしてきみは世の中の色んな発見について語り出す。
ーもしもし、だからね。
 偶然に出会うためには、
 色んなことをたくさん試すことが、
 試し続けることが大切なんだと。
 ぼくの偶然と少し違う気もするけど、
 それはそれで大切なことなんだろうなとぼくも思う。

Written by ken1

2022/07/31 at 18:27

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #762

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 一日の終わりにきみがにこやかにぼくを呼ぶ。
 何だろう。
「明日はね、今日と違う自分になるんだよ」
 ぼくがキョトンとしていると、
「放っておいてもならないからね」
 きみは腕を組む。
「自分自身でより良い自分に変えるんだよ」
「明日だけじゃなくて、毎日ね、一日も欠かさず」
 大変そうだなぁ。
「もしもし、ものすごく大変に決まってるじゃん」
 きみは何だかわくわくしている。

Written by ken1

2022/07/24 at 18:44

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #761

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 夜遅くビールを口にする。
 今日は昼間からずっとビールを飲んでいた。
「どう?会えた?」
 うん、会えた気がした。
 彼は殊の外、ビールが好きだった。
 一年前の枕元にもビールがたくさん並んでいた。
 そして今年も祭壇には所狭しとビールが用意されていた。
「もしもし。わたしにも一口頂戴」
 一度だけ彼に会ったことのあるきみもビールを口にする。
 祭と書かれた一周忌は、みんなの笑顔に包まれて幕を閉じた。
 彼の写真に向かって2年後にまたビールを飲もうと約束をして。
 
 

Written by ken1

2022/07/17 at 19:54

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #760

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「あなたと会って、何となくおしゃべりをする時間。 
 そういう何気ないひとときがいちばん好き」
 静かにきみがぼくに答える。
 エアコンの音だけがぼくらを包む。
ーいちばん好きな時間ってどんな時間?
 きみがぼくに尋ねて、きみがぼくに答えた。
「もしもし、あなたはどう?」
 ぼくは照れくさくて何も答えず、
 きみの顔を見ている。

Written by ken1

2022/07/10 at 20:00

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #759

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 きみがぼくに本を読んで聞かせてくれる。
 なぜだか偶にあること。
 ぼくは幼い頃の感じに包まれながら、
 きみの読む話に耳を傾ける。
ーぼくの大好きなあの人がちゃんと幸せだったらいいな。
ー少なくとも今、あの人が笑っていればいいな。
 読み終えたきみがぼくの目を見る。
「もしもし、わたしもそう思う」
 そうだね、ぼくもそう思う。
 そしてぼくらは、それぞれの人に思いを馳せる。

Written by ken1

2022/07/03 at 21:56

カテゴリー: kiss

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