Archive for 9月 2022
きみのもしもし #771
どんな音楽を聴きますか、とたまに聞かれる。 ーなんて答えてるの? 答えようがないんだよね。 その日の気分で、 エドシーランだったり、 ジューダスプリーストだったり。 ーじゃあ、大好きな音は何? 電車の走る音。 ーもしもし。。。変なの。 そうかなぁ。 本を読むBGMとしては最高なんだけどなぁ。 きみも試してみなよ。 きみは少し困った顔で笑っている。
きみのもしもし #770
きみの部屋の様子をスマホ越しに見せてもらった。 いつもは床の上にあるものが、 できるだけテーブルの上に移されていた。 ずっと以前の床上浸水の記憶がそうさせるのだろう。 雨戸も閉めたし、おにぎりも作った、 懐中電灯も手元に持ってきたらしい。 ーもしもし。怖いけど、大丈夫だよ。 きみは気丈に笑いながら手を振っている。
きみのもしもし #769
ーあなたが面白いと思うものを大切にすればいいと思うよ。 ぼくが行き詰まると、きみはいつもさらりと助け舟を出してくれる。 ぼくはそこからまた動き出す。 ほんとうに助かっている。 ありがたいことだ。 ーもしもし。そしてね、あなた自身に飽きないようにね。 きみがにっこり笑ってる。
きみのもしもし #768
どうしてこうも覚えていないんだろう。 自分の記憶力が嫌になる。 そういえば以前の先生が言っていたな。 一日20分でいいから勉強しなさいと。 「なに探してるの?」 きみが不思議そうに覗き込んでくる。 一年前の記憶を探してるんだ。 一年前って事までは掘り返した。 「もしもし。今日何かあったんでしょっ」 うん、一年前に習ってたことを質問しちゃったんだよなぁ。 きみはいたずらっぽく笑ってる。