Archive for 11月 2022
きみのもしもし #780
きみからデートに誘われた。 「イルミネーションを観に行こうっ」 目指したのは古くからのお寺。 イルミネーションの最終日とあって、 老若男女、家族連れ、カップル、 初詣さながら参道にはたくさんの人がいる。 この時期、日没は早く、 イルミネーションは存分に楽しめる。 「もしもし、ちゃんとお参りも忘れずに」 帰り際、観音様のいる本堂へと きみはぼくの手をとった。
きみのもしもし #779
絵本を読んで、ときみが言う。 なんとなく懐かしい響き。 きみはそそくさと毛布をもってソファに横になる。 そして、うふふと笑ってる。 「もしもし、あなたはどの絵本が好き?」 ぼくを探しに 「わたしは、これ」 手渡されたのは、 きみのことが だいすき きみはうふふと笑ってる。
きみのもしもし #778
きみと並んで部屋の窓から外を眺める。 今日も小春日和だ。 鳥が左から右へ視界を横切っていく。 きみはそれを目で追っている。 窓を開けようか。 きみが頷く。 ーもしもし。スマホの画面見てるより楽しいね。 ぼくも頷いて、 二人して朝の空気を胸いっぱいに吸い込んだ。
きみのもしもし #777
きみが悟りを開いたような目をしている。 たまにそんなときがある、気がする。 「もしもし、期待というのはね」 と一息入れる。 何だろう。 「自分自身に対してもつものだよ」 えっ。 「期待は他人にするものじゃないよ」 そうだね、自分がやればいいんだものね。 「そう。だから今夜の夕ご飯は自分で作ってね」 今日もまたきみから一つの教えを授かった。