Archive for 4月 2023
きみのもしもし #802
もっと寝てようか。 ーうん、寝てよう。 そろそろ起きる? ーう〜ん、もう少しだけ。 そうだね。 ーもしもし、起きる? もっと寝てよう。 ーそうだね。 いいなぁ、寝るのって。 きみは隣で目を細めてる。
きみのもしもし #801
これでもかと言うほど、食べた。 お酒の量も嗜むよりは少しだけ多かったけど、ほろ酔いよりはいい感じに酔えた。 また、来よう。 今度は注文する量は少しだけ少なめにね。 ーもしもし。 きみが上目遣いに笑ってる。 ーいい時間だったね。 そうだね。 いつもよりきっと饒舌になっていたぼく。 とてもいい時間だったんだと思う。
きみのもしもし #800
「珈琲一杯の時間は大切なのよ」 きみはゆっくりと珈琲を口にする。 そして窓越しに見える青空に目をやる。 ぼくも珈琲を口にし、青空との境の窓を開ける。 「慌ただしさを忘れるね」 そしてきみはまた珈琲を口にする。 「もしもし、お代わりしてもいいかしら」 うん。 ぼくはキッチンに向かい、コーヒーミルで豆を挽く。
きみのもしもし #799
ぼくの手紙はまだ届かないかな。 きみからの返信は大きなクエスチョンマーク。 便箋に万年筆で手紙を書いて、切手を貼って、投函したんだ。 今度は少し不思議なクエスチョンマークのスタンプが届いた。 ーそれって恋文? ラブレターと書かないところがきみらしい。 ーもしもし、ちょっと待っててね。郵便受けを見てくるからね。 ぼくまでちょっとドキドキしてきた。
きみのもしもし #798
ぼくが出不精なこと、きみはよく知っている。 ーひとの時間って無限じゃないし、 ー面倒だなぁなんて思ってる暇はないよ。 ー外に出るとね、偶然がやってくるの。 もしもし、だからね、だからね、と きみが笑いながらせっついてくる。 ー偶然を楽しまなくっちゃ。 出不精なぼくをきみが動かす。