風、空、きみ

talk to myself

Archive for the ‘未分類’ Category

きみのもしもし #654

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 彼がいなくなって、明日で一年になろうとしている。
 早い一年だ。
 きみが今朝、ぼくに言った。
ー証明できないからって、存在しないことにはならないよ。
ー想像できれば、信じられるの。神さまだってそうじゃん。
 そうだね、彼は今でもぼくらの中に存在している。
 いつだって話しかけることはできるし、
 いつだって彼は笑い返してくれる。
ーもしもし。会いに行こうっ。
 うん、そうしよう。
 彼が写真越しに微笑んだ気がした。

Written by ken1

2020/06/28 at 19:46

カテゴリー: 未分類

きみのもしもし #648

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ーリラックスするのはいいことよ。
ー今夜は少し酔いましょう。
 そう言ってきみはテーブルに、
 にんじん、大根、きゅうり、レタスを並べた。
 とくべつな野菜ではなく、どこにでもある野菜。
 でもすべて国内の農家さんが育てた野菜。
 そしてその真ん中に、ウイスキーの瓶と強めの炭酸水を置いた。
ーもしもし。お酒を飲むときはね、ちゃんと野菜を食べるんだよ。
ーそれも、たくさんたくさん食べるんだよ。
 きみはぼくにきゅうり一本そのままを、フォークに刺して差し出した。

Written by ken1

2020/05/17 at 18:53

カテゴリー: 未分類

きみのもしもし #550

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 再開しました。
「違うでしょ。また再開しました。でしょ」
 と、きみは半分あきれた顔で、でも笑っている。
「ちゃんと水を持っていくのよ」
 そして、心配してくれている。
「いつも何やかやと避けているあなたが、
 そうやって自分からまた始めようとするのは良いことね」
 避けてたっけ。
「今日は寒い。今日は雨。今日は暑い」
 これがあなたの口癖よ、ときみが笑う。
 大丈夫。途切れてもまたまた再開するからさ。
「もしもしぃ」
 きみは腕を組んで苦笑する。
「再開の連続、それも一つの継続かもね」
 熱中症に気をつけて、無理はしないように。
 ジョギングを再開したぼくに、きみは笑ってそう言った。

Written by ken1

2018/07/01 at 19:55

カテゴリー: kiss, 未分類

きみのもしもし #549

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 天気予報を意にも介さない今朝の天気がやっと落ち着いてきた。
 いい陽射しだ。
ー全部の部屋の窓を全開にしていい?
 もちろん。
 きみはリビングと和室の窓を、
 ぼくは奥の二つの部屋の窓を。
 ついでだ、バスルームの窓とドアも開けよう。
 少し湿った風が通り抜けるかと思っていたけど、
 思いの外、清々しい風が部屋中を包んだ。
 うん?これなら。
 ぼくはリビングのエアコンをつけた。
 夏に向けての試運転。
 でも、少しするときみがシャツを一枚羽織る。
ーもしもしぃ、寒いっ。
 うーん、まだ少し気が早かったか。
 ぼくはエアコンをオフにして、
 きみに熱々の珈琲を淹れることにした。
 

Written by ken1

2018/06/24 at 19:46

カテゴリー: 未分類

きみのもしもし #547

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 ベストセラーになったあの小説のどこかに、
 空の写真を病室の天井に張りめぐらせるシーンがあった気がする。
 すごく著名な写真家のあの人は奥様が他界した後、
 空ばかりを写していたと書いていた。
 空ってなんだろう。
ー見ていて飽きないね。
 今日は朝からあいにくの雨。
 少し肌寒い。
 ぼくの淹れた珈琲を両手で包んで、
 きみはリビングの窓からどんよりとした空を見上げている。
 ぼくはそんなきみの横顔を楽しむ。
ーもしもし。パンケーキ焼いたげよっか。
 きみがキッチンに入って、
 今度はぼくが空を見上げる。
 確かにこんな雨模様の空でも見飽きない。
 空ってなんだろう。
ー神様がくれた一番のプレゼントかもね。
 キッチンからきみの声が聞こえた。

Written by ken1

2018/06/10 at 18:03

カテゴリー: kiss, 未分類

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