風、空、きみ

talk to myself

Archive for the ‘未分類’ Category

きみのもしもし #550

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 再開しました。
「違うでしょ。また再開しました。でしょ」
 と、きみは半分あきれた顔で、でも笑っている。
「ちゃんと水を持っていくのよ」
 そして、心配してくれている。
「いつも何やかやと避けているあなたが、
 そうやって自分からまた始めようとするのは良いことね」
 避けてたっけ。
「今日は寒い。今日は雨。今日は暑い」
 これがあなたの口癖よ、ときみが笑う。
 大丈夫。途切れてもまたまた再開するからさ。
「もしもしぃ」
 きみは腕を組んで苦笑する。
「再開の連続、それも一つの継続かもね」
 熱中症に気をつけて、無理はしないように。
 ジョギングを再開したぼくに、きみは笑ってそう言った。

Written by ken1

2018/07/01 at 19:55

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きみのもしもし #549

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 天気予報を意にも介さない今朝の天気がやっと落ち着いてきた。
 いい陽射しだ。
ー全部の部屋の窓を全開にしていい?
 もちろん。
 きみはリビングと和室の窓を、
 ぼくは奥の二つの部屋の窓を。
 ついでだ、バスルームの窓とドアも開けよう。
 少し湿った風が通り抜けるかと思っていたけど、
 思いの外、清々しい風が部屋中を包んだ。
 うん?これなら。
 ぼくはリビングのエアコンをつけた。
 夏に向けての試運転。
 でも、少しするときみがシャツを一枚羽織る。
ーもしもしぃ、寒いっ。
 うーん、まだ少し気が早かったか。
 ぼくはエアコンをオフにして、
 きみに熱々の珈琲を淹れることにした。
 

Written by ken1

2018/06/24 at 19:46

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きみのもしもし #547

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 ベストセラーになったあの小説のどこかに、
 空の写真を病室の天井に張りめぐらせるシーンがあった気がする。
 すごく著名な写真家のあの人は奥様が他界した後、
 空ばかりを写していたと書いていた。
 空ってなんだろう。
ー見ていて飽きないね。
 今日は朝からあいにくの雨。
 少し肌寒い。
 ぼくの淹れた珈琲を両手で包んで、
 きみはリビングの窓からどんよりとした空を見上げている。
 ぼくはそんなきみの横顔を楽しむ。
ーもしもし。パンケーキ焼いたげよっか。
 きみがキッチンに入って、
 今度はぼくが空を見上げる。
 確かにこんな雨模様の空でも見飽きない。
 空ってなんだろう。
ー神様がくれた一番のプレゼントかもね。
 キッチンからきみの声が聞こえた。

Written by ken1

2018/06/10 at 18:03

Posted in kiss, 未分類

きみのもしもし #546

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 きみの姿が見えない。
 夢なんだろうな。
 そんなことを考えながら、
 ぼくは左の部屋のドアを開ける。
 そこにももちろんきみの姿は見えない。
 どうして、もちろんなんて思ったんだろう。
 今度は右の部屋。
 きっときみはここにもいない。
 そう分かっているのにドアノブを回す。
ーもしもし、ここにいるのに。
 きみはずっとそこにいたかのように現れる。
 気づかないうちにぼくのそばにいる。
 そして笑ってきみはぼくに言う。
ーもう少し寝なさい。
 うん。
 素直にぼくは夢の中で、もう少しだけ眠りにつく。

Written by ken1

2018/06/04 at 00:04

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きみのもしもし #545

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ーどうだった?
 うん、よかったよ。
ー心と体、浄化されたんじゃない?
 なんだかな、それ。
ーだっていつもそうだもの。
 だからたまに帰るんだろうな。
ーいいね、帰れるところがあって。
 いつまであるかな。
ーいつまでも、ずっと。
 そうだね。
ーそのお返しは何かしてきたの?
 肩もみ。
ーいいね。
 親父にもたまにやってもらってたって、お袋よろこんでたよ。
ーそりゃそうよ。
 あと、神社の裏で一緒にホタルを見た。
ーえっ。
 たっくさんのホタルがふわっと飛んでるんだ。
 きみが少し間を置いて言った。
ーもしもし。次はわたしも一緒に見たい。
 そうだね、来年はそうしよう。

Written by ken1

2018/05/27 at 19:18

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きみのもしもし #537

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 まだここいらの桜は咲いている。
 でもちょっとした風に花々は揺られて、
 ぼくらの目の前で風に乗った桜の花びらが優しい舞を見せてくれる。
「もしもし、どう?」
 夜桜見物が早すぎる開花でほとんど葉桜見物になった昨夜のきみの企画。
 それを挽回しようと今朝突然きみが組んできたここいらでの桜見企画。
 ありがとう。今年もきれいな桜が見れました。
 そしてきみと桜の木々を見上げながら歩いていると、
 裏手の山から教科書通りのウグイスの鳴き声までもが聞こえてきた。
「すっかり春だね」
 ぼくらはどちらからともなく、そう口にした。

Written by ken1

2018/04/01 at 23:08

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きみのもしもし #536

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「もしもし」
 きみが意味深な顔をしている。また何かに感化されたのかな。
「タイムスリップで過去に行けるとしたら、いつに戻りたい?」
 高校時代かなぁ。
「本当に戻りたい?」
 いやぁ、戻れなくてもいいけど。
「けど?」
 あの当時はやけに楽しかったなぁってさ。
「今は?」
 楽しいよ。また別の気のおけない仲間もいるし。
「いいね」
 うん、いいよ。
「よかった」
 どうして?
「トイムスリップされてどっか行っちゃうと少し寂しいから」
 少し?
「うん、少しね」
 大丈夫、行かないよ。ここにいるよ。
 きみは満開の桜を見上げて、微笑んでいる。
 それを見て、ぼくは思う。
 うん、今が一番だな。

Written by ken1

2018/03/25 at 14:39

Posted in 未分類

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