風、空、きみ

talk to myself

Archive for the ‘未分類’ Category

きみのもしもし #517

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 きみを笑顔にする魔法の呪文なんて知りません。
 この頃はすぐに夜になっちゃうし、
 今夜もそんなに時間に遅れていないのに、
 少しだけ気が急いてしまいます。
 でも、少しでも早くきみの顔を見るために、
 少しでも長くきみと一緒にいるために、
 さぁ、きみに会いにいきます。
 もう少しだけ待っていなさい。
ーもしもしぃ、返信はいいから、早くおいでよ。
 やはりきみは待ちわびているようで、
 それはそれでうれしいものです。

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Written by ken1

2017/11/12 at 18:36

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きみのもしもし #509

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「名前を呼んでよ」
 会話の途中で少し間があったと思った直後に、
 きみがそう言った。
 ぼくがきみと話すとき、
 きみの名前を使わないと、きみは説明した。
 おい、とか、こら、とか、
 ぼくはそんなことはもちろん言わない。
 でも、名前を使わない、ときみは言う。
 名前を呼ばれると、うれしくなる。
 名前を呼ばれると、あたたかくなる。
 名前を呼ばれると、なんだかほっとする。
 だから、
「もしもし、名前を呼んで」

Written by ken1

2017/09/17 at 18:41

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きみのもしもし #495

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 窓ぎわで日向ぼっこをしているきみ。
 もう春も終わって、陽射しは夏に向かっている。
ー暑くないのかな。
 ぼくはきみのじゃまにならないよう、心の中で話しかける。
 きみは音にならないぼくの声が聞こえたように振り返る。
ー確かにちょっとだけ暑いけど、日向ぼっこは大切なのよ。
 と、目配せをする。そんな気がした。
「ホットコーヒー頂戴」
 おや?想像は違ったね。
「もしもし、ホットだからね」
 そんなきみは額にすこしだけ汗をかいていた。

Written by ken1

2017/06/11 at 01:02

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きみのもしもし #483

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 カフェで互いに向き合って、
 きみがぼくの良いところを箇条書きにしている。
 ぼくもきみの良いところを箇条書きにしている。
 どちらからともなくときおり顔を上げ、
 相手の表情を見る。
 相手の仕草を確認する。
 相手の全身を見る。
 そしてまたテーブルの上の紙にペンを走らせる。
 コーヒーを一口、口につけ、
 きみを見る。
 たくさんの箇条書きができるきみはそれだけ
 ぼくを見ていることになり、
 それだけ良い点に気づいてくれる良き理解者ということになる。
 でも、箇条書きの数だけぼくはきみにとって良い点を多く持っていることにもなって、
 さて、見つけ出すきみが偉いのか、
 そもそもそれだけの良い点を持っているぼくが偉いのか。
 少しの間、そんなことを考えていた。
「もしもし、また理屈っぽいこと考えてたんでしょっ」
 顔を上げたきみが笑っていた。

Written by ken1

2017/03/20 at 00:45

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きみのもしもし #478

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「何かかくしてるでしょっ」
 相変わらず、きみの勘は鋭い。
 隠してるわけじゃないんだけど、
 もう少し黙っていようかなと。
「ふたりの間に内緒ごとはないよね」
 内緒ごとはないんだけど、
 だけどもう少しだけ。
 寒い北風が吹く今月から、
 梅が咲き、桜の蕾が目につき始める頃まで、
 もう少しだから、
 だからもう少しだけ知らせるのは後にしようと。
「何かあるでしょっ」
 ほんの少しだけきみをおどろかそうと計画していたのに、
 きみの勘は鋭い。
「もしもし」
 だめだ。
 計画変更。
 観念したぼくの顔を確認して、
 きみは笑っている。
 あなたの負けねって目をして、
 笑っている。

Written by ken1

2017/02/12 at 22:33

Posted in kiss, 未分類

きみのもしもし #474

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「あっ仕事してるっ」
 カフェでぼくのMacBookを覗き込んだきみ。
 仕事は会社でするものよとばかりの目つき。
 きみの到着が予想より早かったとも言いづらい。
「その表現だめっ」
 そしていきなり作成中の企画書にツッコミを入れてくる。
「計画1じゃなくて、Plan Aにしなよ」
 横文字ねぇ。
「だって数字は10までしかないけど、アルファベットは26文字」
 言わんとすることがよく分からない。
「もしもしぃ。Plan AがダメでもPlan Bを起動して、Plan Cも有効にできるの」
 きみは得意げにぼくのMacBookを取り上げた。
 どこの誰の受け売りなんだろう。
 そんなにたくさんのプランを考えることはないだろうに。
ー失敗を恐れず前へ進め、アルファベットはまだ25文字もあるんだから。
 それが本当の意味だった気がするなぁ。
 とにかくMacBookは今きみの手の中にある。

Written by ken1

2017/01/15 at 18:59

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きみのもしもし #471

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 きみの出番を待つグランドピアノ。
 その前にきみはさっそうと、
 でもよく見ると少しだけはにかみながら現れた。
 漆黒のドレスに足元は真っ赤な靴。
 映画「薬指の標本」でのセクシーな赤い靴を思い出した。
ーもしもし、去年のリベンジするんだからね。
 きみは昨日そう言っていた。
 一年分の頑張りが確かに伝わる演奏だった。
 来年は?
ー今年の気づきを克服するの。
 ストイックなアスリートみたいだ。
 じゃ来年も予定を空けとくよ。
 長い付き合いの中で、初めて聴くきみのピアノ。
 ホールを後にし、クリスマスの雑踏の中、
 ぼくはドレスアップしたきみの姿を思い出し、
 演奏の余韻までも楽しんでいた。

Written by ken1

2016/12/25 at 19:11

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