風、空、きみ

talk to myself

Archive for the ‘kiss’ Category

きみのもしもし #600

leave a comment »

 ぼくは忘れていないよ。
 何にもしないときみにいつも言われてるけど。
 例えば、レストランの予約、コンサートの誘い、
 確かにきみが全部やってくれる。
 でも、ぼくは忘れていないよ。
 去年の夏、ここのパフェをきみに誘われ、
(あぁ、確かにあのパフェもきみが見つけてきたんだ。)
 あの時ウィンドーに飾られていたチョコレートで出来た贈り物を見て
 きみが言った一言、ぼくは忘れていないよ。
ーもしもし、どうして今日は会えないの?
 うん、ちょっとね。
 あのチョコは予約が必要なんだ。
 今日予約をしないと二週間後のきみの誕生日に間に合わないんだ。
 そう、ちょっとね。
ーじゃあ、来週は会えるのかな。
 来週もそして再来週も会えるよ。
 きみは今日会えないことに納得がいかないみたいだ。
 ふふふ。
 たまにはサプライズをしないとね。その準備も必要なのさ。

Written by ken1

2019/06/16 at 21:51

Posted in kiss

きみのもしもし #599

leave a comment »

 幼い頃、すすきの穂で蛍を捕まえていたことを思い出した。
 夜、小川の淵ですすきの穂をゆっくり左右に振ると、
 たくさんの蛍が穂にくっついてきた。
 その蛍をそっと籠に移し枕元に置くと、
 柔らかい灯となって、ぼくと母親を包んでくれた。
 今夜の蛍放生祭を見にきて、そんな思い出が蘇った。
「ねぇあっちにもいる。あ、こっちにもいた」
 きみがそっと耳打ちするように、でも
 はしゃいでいるようにもとれる口調でぼくに教えてくれる。
「もしもし、どうしたの、ぼーっとしてる」
 ううん、ぼくは首を横に振る。
 きれいだなって思ってさ。
 そんなぼくらの前を柔らかい灯がひとつ、横切った。

Written by ken1

2019/06/09 at 22:16

Posted in kiss

きみのもしもし #598

leave a comment »

 遠くに行っているきみからたまに連絡が入る。
 昨日まで裏の境内のベンチで話をしていたはずなのに、
 少し間が空くと、もうどこかに飛んでいる。
 そして必ず、
ーもしもーし、あなたもおいでよ。
 そう言ってくる。
 いいなぁ、きみは鳥みたいで。
 行きたいのは山々なんだけど、
 ぼくはまだまだしがらみが多そうだ。
ーいつでも待ってるよ。
 きみは屈託のない笑顔をメッセージに乗せてくる。

Written by ken1

2019/06/02 at 19:40

Posted in kiss

きみのもしもし #597

leave a comment »

ー心のフィルムに写す。
 著名な写真家が、今日そう言っていた。
 だからあの日はカメラを持って行かなかったのだと。
 あの日が彼にとってどんな日だったのか、
 うわべだけ想像することは出来ても、
 ぼくには本当に理解することは出来ないんだろうな、と思った。

「もしもし、ぼーっとしてないっ。今日はおニューの夏服だよ」
 きみがぼくの目の前でくるりと一回転する。
 瞬間、夏色のスカートはふわっと開き、
 ぼくだけのバレリーナがそこにいた。
 そっか。
 今日はカメラをカバンから出さずに、
 一秒でも長く、きみを見ていよう。

Written by ken1

2019/05/26 at 21:20

Posted in kiss

きみのもしもし #596

leave a comment »

 きみは毎日をめいっぱい楽しんでるね。
 きみを見ていて、うらやましいと思うほどに、
 きみは全力で楽しんでいる。
ー今のうちよ。
 きみはそう言う。
ーそのうち、やりたくてもできないときが来るんだから。
 だからきみは今できることをめいっばいやろうとしている。
ーもしもし、でもね。歳をとらないとできないこともあるみたいよ。
 そして続ける。
ーだから元気に歳をとろうね。
 そうだね、元気にね。一緒にね。
 頷くきみは、また次の予定を立てている。

Written by ken1

2019/05/19 at 21:37

Posted in kiss

きみのもしもし #595

leave a comment »

「素敵な名前のバーね」と、きみが言う。
「行ってみたい」と、きみが続ける。
 いつでもいいよ。
 ぼくは答える。
 ぼくはいつでも大丈夫。
「もしもし」
 きみがいたずらっぽく笑う。
「やっぱり誘うのは男の子からだよ」
 きみはふふふと静かに笑う。
「きちんと誘ってね」
 頬杖をついてふふふと笑う。

Written by ken1

2019/05/12 at 15:55

Posted in kiss

きみのもしもし #594

leave a comment »

 きみが笑うと季節が変わる。
 どこかで耳にしたことのある台詞だけど、
 今日はまさにそんな気がした。
 GW後半の5月、Tシャツでも汗ばむ陽気。

 昨日きみから笑顔の写真が送られてきた。
ーもしもし、お片づけ進んでますかぁ?
 うん、今月中には片付くよ。後半はどこか行こう。
ー楽しみだね。
 きみは今度はVサイン付きの笑顔の写真を送ってきた。

 そして今日GW後半、陽気はがらりと変わった。
 きみの笑顔で季節が変わったね。
 きみは不思議そうな顔をして、
 でもまた笑顔で話を始めた。

Written by ken1

2019/05/05 at 19:11

Posted in kiss

%d bloggers like this: