風、空、きみ

talk to myself

Archive for the ‘kiss’ Category

きみのもしもし #721

leave a comment »

「もしもし。見せないんだったら、撮らないのと同じだよ」
 毎年応募していた写真展をすっかり忘れていた。
 何をやってんだか。
 去年は巷の影響で中止になったその写真展。
 今年はちゃんとお知らせまで来てたのに。
「そんなときもあるよ」
 きみにぽんっと肩を叩かれた。
 ほんと何をやってんだか。

Written by ken1

2021/10/10 at 19:27

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #720

leave a comment »

 きみが腕組みをしている。
 さっきからずっと目を瞑って腕組みをしている。
 ぼくはその様子を珈琲片手にずっと見ている。
 そろそろかな。
 きみが大きく頷いた。
ーそうよね。
 開いた目は生き生きとしている。
ー大切なのはやりたいことをやることよね。
 ぼくはゆっくり珈琲を口にした。
ーもしもし、そうだと思わない?
 そうだね、ぼくも力強く頷いた。

Written by ken1

2021/10/03 at 18:14

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #719

leave a comment »

ー紐がね、こんがらがっちゃった。
 何をどうやったらこんなになるんだろうね。
 ぼくは笑ってしまう。
 きみは「わたしじゃないもん」って顔をしてるけど、
 きみとぼくしかいないんだから、ねぇ。
ーもしもし。こんがらがっちゃったの。
 きみはそれしか言わない。
 大丈夫だよ。ぼくはね、ほどくのが得意だから。
 きみはぼくの横にちょこんと座り、
 少しずつほどけていく様を見ている。
 もう少し待っててね。
 きみはこくりと頷いて、ぼくの指先を見ている。
 

Written by ken1

2021/09/26 at 22:53

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #718

leave a comment »

ーちょっといいことがあったから、自慢してもいぃい?
 きみが遠慮がちに聞いてくる。
 胸張って自慢すればいいのに。
ーもしもし。ひとの自慢話なんてねぇ。
 きみは笑っている。
 そうだね。そうかも知れないね。
 ぼくは苦笑する。
 で、何があったの?
ーちょっとね。
 きみはうれしそうに笑っている。

Written by ken1

2021/09/19 at 18:50

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #717

leave a comment »

「子供の頃のこと、思い出せる?」
 思い出せるよ。
「じゃあ、一番最初の思い出は?」
 ぼくははたと困ってしまう。
 親父との風呂、お袋の背中。
 ひとつを思い出すと、
 もっと以前の思い出があるはずだと、
 どうしても最初の記憶に辿り着けない。
「もしもし。それが普通なのよ」
 きみはきっと正しいんだろうね。
 でも、今夜はもう少し思い出してみるよ。
 なんとなく、忘れたままじゃ寂しい気がした。
「わたしも思い出してみようかな」
 今夜は長い夜になりそうだ。
 
 

Written by ken1

2021/09/12 at 21:21

カテゴリー: kiss

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。