風、空、きみ

talk to myself

Archive for the ‘kiss’ Category

きみのもしもし #513

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 以前どこかで耳にした。

ーきみとの時間は永遠に続かない。
ーそれを忘れないように。

ーきみを抱きしめること。
ーぼくがきみに与えることができる唯一の宝物。

ーきみへの気持ちを伝えよう。
ー心を込めて。

 肌寒い小雨の中、写真展を観た帰り、
 ギャラリーに展示してあった、
 愛するものとのかけがえのない時間の記録、
 それらがジョージ・カーリンからのメールを思い出させた。

 そして今、それがきみに重なった。
 いつも聞き慣れているはずの、
 きみのもしもしに重なった。

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Written by ken1

2017/10/15 at 18:29

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きみのもしもし #512

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「あなたに会おうと思えば、そう、あなたを見つけるのはとても簡単なの」
 きみは余裕の表情で、ぼくの向かいの椅子を引く。
 きみとの待ち合わせの時間まで、
 ぼくは約束とは別の店で本を読もうとしていた。
 少し広めのテーブルで、シンプルな内装と静かな音楽。
 そんなカフェ。
「あなたが好きそうなお店を考えれば、あなたに会える」
 きみはふふふと、
「それだけのことよ」
ーもしもし、とっても簡単なことなのよ。
 きみが自慢げに微笑んでいる。

Written by ken1

2017/10/09 at 08:23

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きみのもしもし #511

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 きみが「触って」と言ってきた。
 お風呂上がりの乾燥させた髪をぼくに近づける。
 きょとんとしているぼくの手を取り「どう?」と言う。
「さらさらでしょ。地肌もいい感じ」
 ぼくはまだ事態を飲み込めないでいる。
「洗面台の前に置いてあったの、使ったの」
 あぁあれか。
「使ってよかったんだよね」
 うん。
 ばたばたしてて、きみに伝え忘れていたね。
 頂きものだよ。
「ありがとう。合うの探してたんだ」
 きみは自分の髪を鼻先に持ってきて、香りも楽しんでいる。
「シャンプーってさ、合う合わないってとっても大事なの」
 そして、きみは頭ごとぼくに押し付け、
「触って触って」
 と、じゃれてくる。
 シャンプーひとつでこんなに会話が生まれるんだ。
「もしもし。明日さぁドライブしよっ」
 何だかぼくまでうれしくなった。

Written by ken1

2017/10/02 at 00:02

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きみのもしもし #510

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 朝、目が覚めると泣いていた。
 何か違う世界にいるみたいな、まだ目が覚めていないような、
 そして、ものさみしい、冷んやりとした感じだった。
 そのまま起き上がることもせず、天井を見つめていると、
 右の頬を伝うものがあった。
 冷んやりと感じたのはこれか。
 頬を伝う涙。
 ぼくは泣いているのか。
 なぜ。
 気持ちを整理するために、もう一度目を瞑った。
 そして、どのくらい経ったのだろう。
 今、誰かがぼくの頭を軽く叩いている。
 それはそれは心地よい。
ーもっしもし。もっしもし。
 頭を叩くリズムがそう言っている。
ーもっしもし。もっしもし。
 ぼくは目を開けることはせず、
 このままずっとこのリズムが続きますように、
 そう願って、このリズムに身を任せた。

Written by ken1

2017/09/24 at 21:28

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きみのもしもし #509

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「名前を呼んでよ」
 会話の途中で少し間があったと思った直後に、
 きみがそう言った。
 ぼくがきみと話すとき、
 きみの名前を使わないと、きみは説明した。
 おい、とか、こら、とか、
 ぼくはそんなことはもちろん言わない。
 でも、名前を使わない、ときみは言う。
 名前を呼ばれると、うれしくなる。
 名前を呼ばれると、あたたかくなる。
 名前を呼ばれると、なんだかほっとする。
 だから、
「もしもし、名前を呼んで」

Written by ken1

2017/09/17 at 18:41

Posted in kiss, 未分類

きみのもしもし #508

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 以前、きみが言っていたことを思い出した。
 それを聞いた季節はいつだったんだろう。
 場所はどこだったんだろう。
 でも間違いなく夜の空気が澄んでいる頃に、
 きみがぼくに伝えたことだ。
 離れていても時を一緒に重ねる。
 そんな話をしていたんだと、おぼろげながらに思い出す。
ーもしもし。電気を消すんだよ。

 今夜、ぼくは一つ願い事をしようと思った。
 定番の、星に願いをと言うことだ。
 そのときに、
 以前、きみが言っていたことを思い出した。
ー電気を消せば、星が見えるから。

Written by ken1

2017/09/10 at 21:44

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きみのもしもし #507

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 クローゼットの中を整理していたら、もう一つ、懐かしいものが出てきた。
 親父から手渡されたポラロイドカメラ。初代だと言っていた。
ーちょと出てくるね。
 そしてぼくは最近また発売され始めたポラロイドフィルムを買って帰ってきた。
「また思いつきでそんなの買って来て」
 きみは少しだけあきれた顔をする。
 思いつきもね、それを機に継続させると思いもよらないものに化けることがあるんだよ。
 どう化けるかは先になってみないと分からないけどさ。
 ぼくの計画、それは週に1枚きみをポラロイドに納める。
 5年後10年後、相応の枚数のポラロイド写真がきみとぼくの間に存在する。
 想像するだけでも、なんだかワクワクするね。
「もしもし」
 ん?
「あなたが続けられればね」
 きみはうれしそうに微笑んで、腰に手を当てポーズをつけた。

Written by ken1

2017/09/03 at 21:49

Posted in kiss

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