風、空、きみ

talk to myself

Archive for the ‘kiss’ Category

きみのもしもし #696

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 ぼんやりと電車に乗った。
 しばらくすると車窓から葉桜が見えた。
 春が来てたんだ。
 口元が緩むのを感じた。
「もしもし」
「ぼんやりっていいね」
「なんとなく幸せだね」
 陽射しがきみを包んでいる。
 ぼくは、そんなきみの手を離さないようにしようと思った。

Written by ken1

2021/04/18 at 23:04

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #695

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 またスニーカーを買ってしまった。
 帰宅して靴箱を開けて、はたと困った。
 このスニーカーを入れるスペースがない。
 さてとどの靴を断捨離しようか。
 一年間使わなかった真新しい靴を整理するか、
 長年使い古した靴を整理するか。
 それぞれに懐かしい思い出が蘇り、
 靴箱に収まっている靴を前に、ぼくの動きは止まる。
「もしもし、これ何?」
 包装紙に包まれたスニーカーを指差し、きみが笑っている。
「どこに収めるのかな」
 ぼくは腕を組み、頭を振る。
「わたしのエリアまで侵食しないでね」
 きみはいたずらっぽく笑ってる。

Written by ken1

2021/04/11 at 18:00

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #694

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 きみがゴロリとぼくの膝に頭を乗せる。
 きみの首から肩にかけての体温がぼくの膝に伝わる。
 生温かい。
 その生温かさが、とても久しぶりに感じた。
 きみの頭を撫でてみる。
 なんだかいい香りがする。
 そして、柔らかい。
 これを幸せって言うのかな。
「もしもし」
 きみがぼくを見上げる。

Written by ken1

2021/04/04 at 19:28

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #693

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 虹が出ていたときみが言う。
ーもしもし? 言えない?
 うん、思い出せない。
ー七色だよ。
 それは知っている。
 でも、七色をそらで言えない。
ー外側から言うよ。
 きみはすらすらと赤から藍色までを口にした。
 いちばん内側は紫だね。ぼくは自慢げに言ってみた。
ーそう。よくできました。
 そしてきみは、きれいな虹の写真を送ってきた。

Written by ken1

2021/03/28 at 18:39

カテゴリー: kiss

きみのもしもし #692

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 ぼくはきみに電話をしようと思う。
 SNSは使わずに、全部電話にしようと思う。
 これから先ずっと電話にするのは無理だろうから、
 今日一日だけを電話にしよう。
 ぼくからのそんな電話を受けて、
 きみがキョトンとしている様子が、
 受話器越しに伝わってくる。
 とくにこれと言った理由はないんだけど、
 ただ、きみの声が聞きたいだけ。
 ちょっとだけのふたりの沈黙の後、
ーもしもし。わたしも今日はそうする。
ー生の声っていいものね。
 きみの声が弾んでいた。

Written by ken1

2021/03/21 at 18:49

カテゴリー: kiss

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