風、空、きみ

talk to myself

きみのもしもし #497

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ー夏祭りをしますっ。
 やっと梅雨らしくなった今日、
 脈絡もなくきみから知らせが飛んできた。
ー食べるもの、飲みたいもの、なんでも良いので一品なにか持ってくるように。
 ほう、なんとなく計画的。
ースイカでも、お蕎麦でも、唐揚げでもいいのよ。
 なんだそれ?
ー夏の先取りの夏祭り。
 そうだね、沖縄はもう梅雨明けしたし。
ーもしもし、かき氷もお願いね。
 一品では済まなそうだな。
 ぼくはきみが食べたそうなものを、紙に書き出してみることにした。

Written by ken1

2017/06/25 at 18:41

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きみのもしもし #496

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 きみが思いっきり笑っている。
 口に手を添えたり、添えなかったり。
 にこやかな笑顔はよく目にするけど、
 今みたいなはちきれんばかりの笑い顔はいつ以来だろう。
 それとも初めてかなぁ。
 長い付き合いの中、今更ながらに新しい発見か。
 と、きみの動きが止まった。
ーもしもし、また何か頭で考えてるでしょっ。
 きみはぼくのグラスにワインをどくどくと注ぎ始める。
ー飲も。食べよ。たくさん話そ。
 そしてまた満面の笑顔で話を始めた。

Written by ken1

2017/06/18 at 17:52

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きみのもしもし #495

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 窓ぎわで日向ぼっこをしているきみ。
 もう春も終わって、陽射しは夏に向かっている。
ー暑くないのかな。
 ぼくはきみのじゃまにならないよう、心の中で話しかける。
 きみは音にならないぼくの声が聞こえたように振り返る。
ー確かにちょっとだけ暑いけど、日向ぼっこは大切なのよ。
 と、目配せをする。そんな気がした。
「ホットコーヒー頂戴」
 おや?想像は違ったね。
「もしもし、ホットだからね」
 そんなきみは額にすこしだけ汗をかいていた。

Written by ken1

2017/06/11 at 01:02

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きみのもしもし #494

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 窓越しに、きみがギャラリーで動く姿が見える。
 店内にいるひとりひとりにていねいに何か話をしている。
 きちんと相手の顔を見て、
 きちんと笑顔で相槌を打って。
 今、突然ぼくが入っていくと、少しは動揺するんだろうな。
 そしてその後、動きがギクシャクとなってしまうかも。
 そう考えて、ドアを開けるのを止めて、
 通りからきみの動きを写真に収めてみる。
 うん、やっぱりいい顔をしている。
 今日はこれで帰ることにします。
 お客さんがいないときを見計らって、また来るからさ。
ーもしもしっ。どうして今日来なかったの?
 と、言われそうだけどさ。

Written by ken1

2017/06/04 at 18:36

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きみのもしもし #493

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 久しぶりに訪れたこの境内の木陰で涼んでいると、
 ぼくに一台の赤い自転車が向かってきた。
 そう言えば、きみは自転車を買ったと言ってたな。
 それも赤い色にしたと。
 ぼくはそよ風の心地良さを感じながら、
 さっき渡された9番のおみくじを開いた。
「もしもし。また大吉なのかな」
 聞き慣れた声が前方から聞こえる。
 自転車からきみが降りる。
「大吉でも大凶でもいいじゃん」
 そして微笑んで近づいてくる。
「あなたがここにいることに意味があるのよねぇ」
 そう言って、きみはぼくの隣に腰かけた。

Written by ken1

2017/05/28 at 19:57

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きみのもしもし #492

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ーちょっと上を向いて、大股で歩いてみなよ。
    近所の境内で森林浴もどきをしていたら、きみからメッセージが届いた。
ーそうすると幸せになれるらしいよ。
    ぼくはぼくなりに幸せなんだけどなぁ。
ーあなたがもっともっと幸せになると、わたしもとってもとっても幸せになれるんだから。
    頼られてるのを喜んでいいのか、
    他力本願に口を挟むべきか。
ーとにかく、ひとりでどこかに行く時間あったら、声くらいかけてよね。
    この展開は。。。
ーどこにいるの?わたしはあなたの家のドアの前。
    きみはいつまで経っても心配性だね。
    ぼくは「ちょっと上を向いて、大股で歩いて」、そして少しだけ足早に
    きみの待つ場所に戻ることにした。

Written by ken1

2017/05/21 at 18:09

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きみのもしもし #491

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ーI love you, Mam.
 映画の中の少年が母親に言っている。
 これからはもっと言うね、と言っている。
「言ったことないなぁ」
「いいと思うよ」
「でも、ありがとうは今朝伝えたよ。電話だけどね」
「とってもいいと思うよ。離れていても声が聞ける。素晴らしいね」
 ぼくは少しだけ照れくさい。
「もしもし、わたしには?」
「そうだね、いつもありがとう」
 きみはゆっくり首を横に振る。
 そんなきみに、ぼくは小さくI love youを口にした。

Written by ken1

2017/05/14 at 18:05

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