風、空、きみ

talk to myself

きみのもしもし #585

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 きみが心配そうに笑っている。
 どうしたの?とぼくが尋ねると、
 だってね、と今度は少し苦笑する。
 そしてぼくの隣に座り、一緒にテレビの方を向く。
 珍しいね、この手のビデオを観るなんて。
 あぁこの映画ね。
 今度はぼくが苦笑する。
 もしもし。
「” 何もしない “をするのがいい時もあるよ」
 きみは字幕を読み上げた。
 もしもし。
「きみはクリストファー・ロビンでしょ」
 きみはぼくの手をつつく。

Written by ken1

2019/03/03 at 18:51

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きみのもしもし #584

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きみに伝えた。
予定していた今年の夏のパリは、どうも行けそうにないと。

きみはキョトンとして、
何しに行くつもりだったんだっけと。

パリでのんびり散歩して、
そして会ってみたい人もいるんだ。
そうぼくは答えた。

もしもし、分かってないなぁ。
きみはさらりとこう言った。
夢を見ることができれば、それは実現できるのよ。
きっと会えるよ。

うん、そうだね、そのとおりだね。
ぼくは少しだけ気持ちが軽くなったのを感じた。

Written by ken1

2019/02/24 at 19:35

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きみのもしもし #583

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 懐かしすぎる雑誌が出て来た。
 それも一種類だけではなく、複数のタイトル。
 今も刊行されているのかな。
 当然、ページは日焼けしている。
 破らないようにゆっくりと、それだじゃなくて、
 当時にタイムスリップする感覚で、胸はドキドキする。
 そして、ついに見つけた。
 あの頃、世の中に何の不安もなく、
 輝ける未来だけが見えていた、それを信じていた、
 そんなみんなが夜な夜な集っていた、
 そんなBar Moveが特集されているページ。
「もしもし、POPEYE、HotDogって」
 そう言ってきみはきみの懐かしいあの頃にタイムスリップしたみたいだ。

Written by ken1

2019/02/17 at 19:26

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きみのもしもし #582

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ー何を歌うわけ?
 きみが不思議そうな顔をする。
 そうだろうな、だってカラオケには普段行かないものね。
ーえ?何それ?
 曲名を聞いて、きみは輪をかけて不思議そうな顔をする。
 Puff The Magic Dragon、Blowin' In The Wind、500 Miles。
 これらはぼくらが大切にしている歌なんだ。
 だからあいつらと会って二次会がカラオケになると、
 英語の授業でこの曲を教えてくれた先生を偲んで、
 みんなで合唱するわけ。
 もちろん英語だよ。
 きみは少し考えて、この曲たちの共通点に気づいたようで、
ーもしもし、もしかしてLemon Treeもかなぁ。
 相変わらずきみはカンが鋭いね。

Written by ken1

2019/02/10 at 18:50

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きみのもしもし #581

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 伝えたいのはそうじゃないのに。
 つい、ごめんって言ってしまう。
 口ぐせなのかな。
 きみは笑って聞いてくれる。
ーもしもし、分かっているからいいのよ。
 そして改めて、口にする。
 言われたきみの方が照れている。
 そんな気がした。
 不思議な言葉だね。
 ぼくの方も少し照れている。
 ごめんね、ぼくが照れちゃって。
 あっ。また言った。
ーふふふ。いいんじゃない。
 きみは笑って聞いてくれる。
 伝えたいことは、ありがとう。
 今度は、そしてこれからはさらりときみに言えますように。

Written by ken1

2019/02/03 at 19:03

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きみのもしもし #580

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ーあなたはずっと以前から貧乏症なのよ。
 きみが首を横に振りながら、食事を運んでくれる。
ー諦めてさ、うぅん、割り切ってさ。
 きみは窓の外に視線を移す。
ーボーっと青空見てればいいの。
 生まれて初めてインフルエンザに罹った。
 昨日の薬が効いているのだろう、
 午前中の高熱も治りつつあり、
 もう少しで平熱の域に戻る。
 咳も治まってきたが、寝すぎて腰が痛い。
 うん、溜め込んでいた読書をしよう、
 そうだ、久しぶりにSNSも総なめで閲覧するのもいいだろう、
 でも、パリ行きの予約だけはもう少し頭が回るようになってからにしよう。
 そんなこんなでkindle片手に、スマホ片手に、Macも立ち上げて。。。
ーもしもしっ。寝なさい。
 また叱られた。

Written by ken1

2019/01/27 at 20:48

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きみのもしもし #579

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ーたまにはすべてをオフにしてさ、
 きみが言葉を続ける。
 とってもにこにこしながら、
 ぼくの躊躇している気持ちを溶かすように、
 きみの言葉がぼくを包み込む。
ー行ってくればいいじゃん。
 長いお休みが取れなければ行けないってことはないんだよ、
 と続ける。
ーあなたが行きたいところに行く。日数なんて関係ないよ。
 そこで空を見上げて、光を浴びて、空気を吸って。
 その土地のものを食べて、飲んで。
ーもしもし。
 あなたが行きたいその場所にあなたが立っている、
 それが大事なんだと、きみが身を乗り出して、
ーそれが旅だよ、行ってらっしゃい。
 と、ぼくに言う。

Written by ken1

2019/01/20 at 22:50

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